きょうのアクアトト

世界淡水魚園水族館アクア・トト ぎふウォッチャー。週に一度はアクアトト。

2015/1/14 長良川のアユ

アユです。まだまだ元気。
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話変わるけど先日、長良川市民学習会主催の「長良川のアユ」というシンポジウムを聞きに行って来ました。f:id:aquatottotoday:20150115044159j:plain
長良川のアユについて、文化的・水産資源的な関わりから郡上漁協の白滝治郎さん、生物学的な面から岐阜大の我らが向井貴彦先生からお話がありました。会場は満席!岐阜市民のみなさんのアユに対する熱い思いが伝わります。ちなみにわたしは10分遅刻しました。ごめんなさい。

やっ。苔をはむアユ。凄い速さです。岩のてっぺんツルツル。
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長良川のアユ、岐阜「市」のレッドリストでは「準絶滅危惧種」です。鮎釣りをされる方などえっ!と驚かれる方も多いでしょうけど、たくさんいるように見えるのは、漁協の方々が人工繁殖・放流などされて、増殖に努めておられるからに過ぎないようです。

すごいスピードです。わたしのカメラではこれが限界。。f:id:aquatottotoday:20150114220926j:plain
1990年代から、河口堰の影響で漁獲量が激減しました。運用以前は、堰に阻まれて稚魚が降海することができずに長良川のアユは絶滅すると心配されていたようです。ところが調べてみると、10月の終わり頃、いわゆる落ちアユの86%が沿岸生活を経て、海から遡上してきた個体だったそうです。耳石などを調べると降海履歴がわかるそうな・・・凄いですね!

ただ、わたしのような一般人が思う天然アユ=「長良川で自然に生まれて海へ下り、また長良川に戻ってくる生粋の純天然アユ」っていうのはもうほとんどいなさそうです。(市場の慣例では、川に2週間いれば放流ものでも天然鮎を名乗ってよいそうな。し、知らなかった。。)人の手を借りないと(放流してやらないと)個体群を維持できない、という意味で、長良川のアユは生物学的には「準絶滅危惧種」ということになるそうです。別に獲っちゃダメ、ってことではないんだけど。なかなかインパクトありますよね。

苔はむアユ、キラッと光って美しい。
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そうは言っても長良川には、まだ海から上ってくるアユがいるのです。(揖斐川庄内川、伊勢湾奥の三重の川から降海したり、長良川河口で孵化放流されたものなど。「アユはたわけ(生まれた場所以外にも戻る)」っていう大橋さんの名言?が脳内リフレインw)ダムだらけの木曽川流域では産卵環境も乏しく、アユが有名な支流があっても全て放流魚、つまり野生絶滅と言っていい状況だそうです。

FAOの世界農業遺産認定を目指すなど、長良川のアユを巡っては最近いろいろ世間もかまびすしいところですが、「清流のシンボル」の現状を正しく知って、向井先生の「アユ『だけ』大事にしては自然は失われる」の警句に耳を傾けるべきかなぁ、と思います。