きょうのアクアトト

世界淡水魚園水族館アクア・トト ぎふウォッチャー。週に一度はアクアトト。

2015/2/14 メコンオオナマズシンポ

行って参りました。「大きなナマズのミニシンポジウム~メコンオオナマズを語る~」。

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アクア・トトを拠点とするメコンオオナマズ学術調査委員会(常会は年1で開かれているようで、今年で第12回だそうです)の一般公開シンポジウムです。10周年記念で、5年ぶり3回目の一般公開。

東京水産大学名誉教授の多紀先生の開会の辞に続いて、まずはタイ国立カセサート大学水産学部・プラチヤー・ムシカシントーン准教授による「プラーブックはどこへ行くのか?〜タイのメコンオオナマズをめぐる現状〜」。プラチヤー先生横浜育ちで、日本語ペラッペラでらっしゃいました・・・!
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現地ではプラーブック(プラーブク)と呼ばれているそうです。プラーは魚(ナンプラーのプラーかな)、ブックは強大な、とかマッチョ、というような意味のようです。

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メコン川の固有種なのに本流では絶滅寸前とは。食用で流通しているのはダム湖などタイ全土に放流されたものや、養殖ものなんだそうです。メコン川があんなにダムだらけなのも知らなかったし(特に上流の中国がすごい)、メコンオオナマズが国内外来種になっているとは・・・驚きです。

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2006年から2013年の8年間で放流された個体数63万匹、放流地点はほぼタイ全土にわたる600地点。92%が止水域だそうです。あれだけ大きな魚を放流したら、与える影響もスゴそう。人工交雑個体も積極的に導入されている模様。なんだかなぁ。

続いては、京都大学の荒井修亮教授による「バイオテレメトリーによるメコンオオナマズの追跡」。

摂餌や産卵など生態に関して謎の多いメコンオオナマズを、超音波発信器による遠隔位置測定(=バイオテレメトリー)によって研究しておられるそうです。

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写真は午後の部より。
午後の部の動画でも紹介されてましたが、発信器をメコンオオナマズの腹腔内に入れる手際がスゴい!主に夜間、船上からの作業だそうです。えっ暴れないの!?とビックリですが、捕獲して水面に持ってくると、意外とおとなしいらしい。


最後は我らがアクア・トトの池谷幸樹学芸員メコンオオナマズの不思議な生態」。Zoological Science 2012受賞論文の「メコンオオナマズの絶食を伴う摂餌周期」が、雌雄判別の挑戦へとつながる過程がスリリング!

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キールっていうんですね。初めて聞きました。f:id:aquatottotoday:20150215065650j:plain
「シー」と「ハー」がメスかも・・・なんて素敵すぎる。単純に、タイ語で「4(シー)」と「5(ハー)」だそうです

で去年の12月、実際にタイに行って来られたそうです。f:id:aquatottotoday:20150215065651j:plain
そのときの道中記は午後の部で。
外見ではキールよりも尻ビレに注目すると良いようです。現地調査ならではですね。メコンオオナマズの体内の器官とか、貴重で興味深いスライドがたくさんでした。

f:id:aquatottotoday:20150215065652j:plain講演の後の質疑応答も活発で、終わってみると予定時間を30分オーバーの盛況ぶり。ほんとにいきものって謎だらけで、奥深いんだなぁ。

午後の部「水族館スタッフのタイ放浪記」に続きます。とりあえずおひるごはんのため向井先生と一旦退館。