きょうのアクアトト

世界淡水魚園水族館アクア・トト ぎふウォッチャー。週に一度はアクアトト。

2023/7/23 ツチガエル

大きなツチガエルが観察できました。

背中の隆条がゴツゴツしていてかっこいいですね。

また話変わるけど佐渡になにをしに行っていたかというとツチガエル属の佐渡島固有種・サドガエルを見に行っていました。この後延々カエルの話が続くので興味ない方はここまでで。ツチガエルと似たような生息環境で、平野部の田んぼに居る、と聞いて、「それなら楽勝でしょ」とタカをくくって行ったらどっこい。繁殖期のピークも過ぎていることもあってなんと全く見つかりません…!泣きそう!!!

モリアオガエルがいました。佐渡にはシュレーゲルアオガエルが居ない代わりに標高の低い田んぼにもモリアオガエルがたくさん居て、田んぼの畔の際とかに産卵してました。サドを求めて島内の田んぼをウロウロしていると、えっと思うような場所でも鳴き声が聞こえて来てビックリします。

フェリー代4万円もかけてきてサド見れず仕舞いなんてやば過ぎる、、、と思いつつさまよっていたその時、とある田んぼから耳慣れない微かな音が聞こえてきました。えっこれなんの音だろ…ビューン・ビューン・ビューン…っていう、電子音のような、ささやくような、、、あっっっっっっっちょっ、待ってこれは!!!!!!

youtu.be
えっこれサドガエルの鳴き声じゃない!?!?!?!?!たぶん動画のボリューム上げないと聞こえないと思いますが、現地でもこんな感じ。でも遠い…たぶん田んぼの真ん中へんで鳴いてる…稲も大きくなっているし姿が全然見えない……。もちろん田んぼに入る訳にもいかず、この日の観察は断念。でも生息場所はわかったぞ…!

次の日の晩はその田んぼを起点として、「観察しやすそうな田んぼ」を探すことに。幸運なことにすぐそばに、きれいに草刈りされた広い農道に面しつつ、サドがたくさん鳴いている田んぼを発見。そーっとそーっと探索しますと。

いました。サドガエルです。おお……念願の………!

最初は逃げられてしまいましたが段々と逃げられずに近寄るコツをつかみ、観察用に何匹かキープすることが出来ました。最初の1匹は手が震えました、、、、

ぱっと見ツチガエルによく似ていますが背中の質感がかなり違いますね。図鑑などの解説にはツチガエルに比べて「背面がなめらか」とよく表現されていますが、実際に観察すると背中の隆条はそんなに違いがない。冒頭のツチガエルの写真と比べてもらうとよくわかると思うんですが、どちらかというと隆条と隆条の間を埋める顆粒が、サドガエルではほとんどないと言っていいくらい弱いです。あと背中線持ちの割合が非常に高くて、この田んぼだと3割くらい背中線持ってる印象。

そして、そう。ご覧ください。これを見にはるばるやってきました、「佐渡イエロー」!

サドガエルの一番の特徴はなんといってもこのお腹の下側の鮮やかなイエローです。美しい、、、あと腹面もツチガエルと違ってつるんつるんですね!ちょっとヌマガエルみたい。ちなみになんで鳴き声がそんなに小さいかというと、オスに鳴のうがないせいらしいです。面白いですね。観察した後は全員元居た場所にリリースしました。感謝感謝。

佐渡の田んぼの周りにこんな感じで「江(え)」と呼ばれる溝が掘ってあり、中干しの後の水生生物の避難場所になっているようです。サドガエル幼生もツチガエルと同じく越冬するようなので、こうした構造が助けになっているのかも、という論文がありましたね(出てこない)。

じっさい島内、特に北部の田んぼにはもれなくこの「江」が整備されていました。サドガエル幼生はみかけませんでした^^;

ここからはおまけ。両生類屋の友人から、佐渡島内のツチガエルも観察しておくといいですよ!と言われていたのですが時間切れで発見できず。替わりに帰る道すがら、新潟県上越市の田んぼでツチガエルを観察してきました。ちょっと鳴き声を聞いてみて欲しい。

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どうでしょう、東海地方のツチガエルとなんか違いません!?東海地方は「ギュウギュウ、ギュウギュウギュウ」と「ギュウ」を2~3回繰り返すのに対して上越のツチガエルは「ギュッギュッ、ギュッギュッギュッ」と短く「ギュッ」と繰り返しています。この辺の個体はみんなこんな鳴き方でした。ツチガエルにも方言があるんですかね~~とても面白かったです。他の地域のツチガエルとか、ムカシツチガエルの声も聞いてみたい。ちなみに上越の田んぼにも「江」がありました。